アングスト/不安
1983年/オーストリア/87分/カラー/ビスタ/R15+
監督ジェラルド・カーグル
出演アーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ
公式サイトhttp://angst2020.com/
本物の《異常》が今、放たれる。
後悔してももう遅い。
あまりに<異常>でほぼ「封印」されていた、途方もない傑作である。裁判の際、「女性が私のために恐怖で震えているのが大好きだ。それは中毒のようなもので、絶対に止まらない」「私は単に殺人への欲望から彼らを殺した」と語った、殺人鬼ヴェルナー・クニーセクが起こした1980年1月、オーストリアでの一家惨殺事件。約8年の刑期を終えて予定されていた釈放の1ヵ月前、就職先を探すために3日間のみ外出を許された際の凶行だった。決して世に放出してはならなかったこの狂人の異様な行動と心理状態を冷酷非情なタッチで描写した実録映画が『アングスト/不安』だ。
斬新なカメラワーク、狂人のモノローグで綴る構造、そして全編徹底された冷たく陰鬱なトーン。荒涼とした暗鬱の世界をとらえる映像はひたすらに暗く寂しく、静謐な空気のなか響く狂人の魂の囁きが異常性を際立たせる。描かれる内容もさることながら、作品自体が<異常>であり、その凄まじさは他に類を見ない映画史上に残る芸術性をも発揮、観る者の心に深い傷痕を残す。
1983年公開当時、嘔吐する者や返金を求める観客が続出した本国オーストリアでは1週間で上映打切り。他のヨーロッパ全土は上映禁止、イギリスとドイツではビデオも発売禁止。アメリカではXXX指定を受けた配給会社が逃げた。
ジェラルド・カーグル監督はこれが唯一の監督作。殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で製作、全財産を失った。発狂する殺人鬼K.を熱演したのは『U・ボート』(81)のアーウィン・レダー。
上映スケジュール
9/5(土)・6(日) | 18:25 |
9/7(月) | 19:05 |
9/8(火) | 16:25 |
9/9(水)~11(金) | 19:05 |
9/12(土) | 休映 |
9/13(日) | 18:10 |
9/14(月) | 休映 |
9/15(火)・16(水) | 19:05 |