シタンダリンタ傑作選

【4作品日替わり上映】
『Amourアムール』
『ぼくならいつもここだよ』
『言い訳』
『想うようにいかない』

"何を描いても溢れ出てしまう、シタンダリンタの刻印" 2003年生まれ、現在22歳にして既に作品数は15本を超える“若き”映画作家・シタンダリンタ。小学時代から映画をつくり続けてきた彼は、デビュー作『或いは。』(2019)で門真国際映画祭にて最優秀編集賞・優秀作品賞を受賞。フジテレビヤングシナリオ大賞にも入選し、脚本家としても早くからその才能を注目されてきた。 監督・脚本・編集・出演を自在に横断しながら、人間の整理出来ない感情をそのままに掬い、同時にその圧倒的な作劇と鮮やかな映像センスにより見応えのある一作へと仕立て上げる。言葉にならない違和感、消えない思い、関係の中に残り続ける温度——それらを鋭く、そして時に残酷なまでに掘り下げるその眼差しは、同世代のみならず業界内にも熱狂的な支持者を生み出している。 現在、監督・脚本・主演に加え、劇中アーティスト“dillydally”として自らミュージシャンデビューも果たした最新作『JUST A ROOKIE LUCKY ROOKIE』が制作佳境を迎え、公開に向けて大きな期待が高まっている。映画と音楽を横断しながら拡張を続けるその表現は、まさに今、次のフェーズへと突入しようとしている。 本特集上映は、そんなシタンダリンタの現在地を刻む、初の本格的な特集プログラムとなる。上映される4作品は、比較的近年の作品でありながら、いずれも異なるアプローチを取り、シタンダリンタの作家性を多角的に浮かび上がらせる。 『ぼくならいつもここだよ』(2023)は、小説家という夢を持ちながらも小説を書き切ったことがない青年と、地元の友人との“安定した関係”を軸に、そこへ新たな他者が入り込むことで揺らぎ始める友情のかたちを描く。劇的な事件ではなく、日常の中の微細なズレや違和感を積み重ねることで関係性の輪郭を浮かび上がらせる本作は、彼の人間観察の鋭さが色濃く刻まれた代表作の一つである。 『Amourアムール』(2023)は、結婚・離婚・再婚といった制度的な枠組みを舞台にしながらも、あくまで“恋”の衝動と非合理性にフォーカスした群像劇である。若者たちの嘘と秘密、思惑と感情が複雑に絡み合い、関係性が連鎖的に変化していく様は、軽やかでありながらも切実で、シタンダリンタならではの濃密な会話劇として結実している。 『言い訳』(2024)は、中年女性の孤独と“あるはずもない母性”というテーマを軸に、他者を理解しきることの不可能性へと踏み込んだ意欲作である。ひとつの嘘から始まる関係が、やがて説明のつかない感情へと変質していく過程を、予測不能なストーリーテリングで描き出し、彼の作家性を大きく拡張した転機的作品となった。 そして新作『想うようにいかない』(2026)は、脚本家の女性を主人公に、創作と生活、過去と現在、人との距離感の中で揺れ動く心情を静かに見つめる一作である。家主のいない家での小さな出会いと季節の移ろいの中で、創作論と個人的な後悔が交差しながら立ち上がる本作は、これまでのフィルモグラフィーを引き継ぎつつ、より内省的で繊細な領域へと踏み込んだ最新到達点と言えるだろう。 何を描いても、彼自身が滲み出てしまう。 その“刻印”こそが、観る者を捉えて離さない最大の理由だ。 本特集上映は、その刻印の軌跡と現在地を体感するための、決定的な機会となる。

トークショー予定
6/13(土)13:30の回上映後 トークショー予定
シタンダリンタ監督
6/15(月)18:20の回上映後 トークショー予定
シタンダリンタ監督、篠崎雅美さん(俳優)
6/17(水)18:20の回上映後 トークショー予定
シタンダリンタ監督、鳥取生まれギターポップ育ちのケージくん(ポットキャスター)
6/19(金)18:20の回上映後 トークショー予定
シタンダリンタ監督、唄さん(俳優)
上映は終了しました
上映期間
2026/6/13(土)〜19(金)
上映スケジュール
2026年
6/13(土)
13:30~16:15 Amourアムール
6/14(日) 13:30~15:56 ぼくならいつもここだよ
6/15(月) 18:20~20:46 言い訳
6/16(火) 18:20~21:05 Amourアムール
6/17(水) 18:20~20:46 ぼくならいつもここだよ
6/18(木) 14:20~16:46 言い訳
6/19(金) 18:20~ 想うようにいかない
6/19(金)で終了
料金
一般1,900円
シニア1,300円
学生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引

上映作品

Amourアムール
(2023年/日本/160分)
男性は18歳、女性は16歳から結婚できるという日本らしきある国。これはそんな国に住み18歳という若さで結婚を果たした少年少女と、少女が16歳の時に結婚し離婚した20歳の元夫、その元夫と婚約をしている17歳の再婚相手、姿を現す19歳の不倫相手など、ちょっぴりおませな若者たちの、嘘と秘密、思惑と恋心が入り混じる、一筋縄ではいかない新婚生活の物語である——
監督・脚本・編集:シタンダリンタ
出演:高木もえ、四反田凜太、西﨑達磨、秋山咲紀子、築地美音 他
音楽:megumi otsubo
ぼくならいつもここだよ
(2023年/日本/141分)
小説家という夢を持ちながらもバイトはろくに続かず高校も中退した加登晴。彼は週に一度くらいの頻度で会う地元の友達・賢将生と何もかも話せる“安定”の関係にあった。しかしそんなある日、別の友達経由で知り合った一ノ瀬壮と怒涛の勢いで仲を深めたことで、次第に彼の中の友情に対する価値観が揺らぎ始めていく。
“安定”と“不安定”の狭間で、彼の生活は不思議な緊張感を持ち始め、物語は予想だにしない方向へと転がって行く…
監督・脚本・編集:シタンダリンタ
出演:四反田凜太、寄川歌太、光山叶倭、近藤利樹、川合ルイ 他
音楽:PAHUMA
言い訳
2024年/日本/141分
40歳を目前にフリーターとして生活する早苗はかつての交際相手に意地を張るべく、偶然知り合った18歳の天人に息子のフリをお願いする。天人にダサいとバカにされながらも親子のフリをして、元カレである周防とその娘・莉奈と共に食事をするのだが、二人の嘘はあっという間にバレてしまう。それでも早苗にとってはまるで本当の息子と過ごすような特別な夜だった。
時は流れ、カウンセラーの仕事を始めた早苗は、周防とも友達として良好な関係を築いていた。しかしある日、早苗はSNSで天人らしき人物が失踪したという投稿を見つけ、あるはずもない母性により混沌を極め始める……
監督・脚本・編集:シタンダリンタ
出演:篠崎雅美、秋山咲紀子、倉増哲州、四反田凜太、海道力也 他
音楽:宮本佳直
想うようにいかない
(2026年/日本) ★劇場初公開新作
脚本家の穂村たまかは思うように進まない執筆作業を抱え、少し曇った表情で冬を終えようとしていた。そんな様子をみかねた友人夫婦から、ハネムーンの間ふたりの家の留守番を依頼される。 3人でよく過ごした家、友達の家から友達夫婦の家になった一軒家のリビングでひとり執筆に取り掛かるたまか。そこに夫婦の友人と名乗る女性・加瀬ミカが訪ねてくる。彼女の登場をきっかけに家主のいない家で起こる小さな出会い、近づいてくる春、懲りずに結婚を申し込んでくる別れた恋人、被写体を頼まれていること。たまかは次第にその春にある煌めきを見つけ、ミカのことを脚本に書こうと思い始める。やがてそれは、彼女の創作論と後悔を露わにし、疎遠になった友人について思いを馳せていくのだった……
監督・脚本・編集:シタンダリンタ
出演:唄 MARIE、小西冴空、新生尋子、四反田凜太 他